2011年に女子美術大学芸術学部デザイン学科卒業
卒業制作優秀賞 受賞
アクリル絵画、インスタレーション作品などを中心に制作をしている作家です。
かわいらしい色と様々なかたちが飛び交う画面が特徴的な作品は、不思議なリズムに満ちています。色の固まりや様々な「かたち」たちが、画面の枠から飛び出していきそうな、そんな雰囲気は、彼女の独特な制作スタイルを反映しています。「焦点の定まらない絵が好き」と語る彼女は、あえて構図を決めず、制作時の彼女のコンディションに任せて絵画を構成していく、まるでライブペインティングのような制作スタイルをとっています。描くものを頭で決めずに、体で描く事を追求していくその姿勢は、彼女の頭の中のイメージがそのまま飛び出てきたような、透明な画面を作り出しています。
文章|大平江利子
非売品
サイズ: 606mm × 606mm
素材: キャンバスに油彩
幼稚園からお絵描き教室に通い小学校の中学年から静物画を中心にモノを見て描くことを教わってきました。僕にとってモノを見て、あるいはモノを見た体験から描くことは絵を描く上での基本となっています。平面である画面に置かれた色や形は見ているモノとは別物であり、そこには共通点とズレがあります。絵を描くときには意識するにせよしないにせよそこのズレとずっと向き合っているわけですが、その間様々なことに気づき続けます。物や景色は四角で囲われていないし、絵は紙やキャンバスと絵の具で出来ています。その両者は実は何が根本的に違うのか、またどこに繋がる余地があり何に共通点を見るのか。似たような色を置いたり、構造の似た形を描いてみたり、あるいは似てもいないし理由もよくわからないけれど間違いなくそこにその色を置いた方がいいような気がする、と思うこともあります。理由の全部は分かりませんがなにかを見るときには自分で考える以上の情報量を浴びていて、絵を通してモノの含んでいる様々な要素や見るときに使っていた多様な感覚に気づくのだと思います。
絵を通して感じるこうした様々な気づきを生む深度のある視覚体験と、そこで開いた感覚によって気づく新鮮な事実や可能性への興味は僕の絵を描く理由の一つです。
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